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日本で発毛効果が認められている唯一の成分「ミノキシジル」の作用機序の解明が前進 発毛メカニズムを解明し、新しい発毛剤の可能性を探索

アンファー株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役:三山 熊裕 以下「アンファー」)は、日本医科大学形成外科、メンズヘルスクリニック東京(本社:東京都千代田区、院長:小林 一広)との共同研究において、ヒト毛乳頭細胞に対するミノキシジルの作用機序の解明について2018年12月8日に開催された第26回毛髪科学研究会で発表しました。今後は、ミノキシジルと類似した作用機序を持つ薬剤での実験を予定しており、更なる発毛メカニズムの解明を目指します。

 

研究の背景・目的

ミノキシジルは男性型脱毛症(androgenic alopecia:AGA)と女性型脱毛症(female pattern hair loss : FPHL)の治療に外用薬として用いられる薬剤で、FDA(アメリカ食品医薬品局)に承認されて30年になります。しかしながら、ミノキシジルがヒト毛乳頭細胞に及ぼす上流メカニズム(図1 赤破線枠内)の詳細は明らかになっておらず、未解明な部分が多く存在しています。そこで、我々はヒト毛乳頭細胞に対するミノキシジルの影響について検討しました。

 

研究結果・考察

AGA(男性型脱毛症)治療薬のミノキシジルがヒト毛乳頭細胞に及ぼす作用機序を解明するため、ミノキシジルの活性代謝物である硫酸ミノキシジルを用いて、その添加時に生じるK+チャネルの開口や細胞外ATP放出をリアルタイム観察しました。24時間培養したヒト毛乳頭細胞へ硫酸ミノキシジル(活性型ミノキシジル)を添加すると、細胞外K+放出、細胞内Ca2+濃度変化を確認することができました。また細胞外ATP放出も確認することができました。よって図1 赤破線枠内のようにミノキシジルの上流メカニズムをイメージングによって確認することに成功しました。
また、従来のx-y2次元的なイメージング手法に加えて、細胞のx-z垂直方向の蛍光断面イメージングを試みたところ、硫酸ミノキシジルによって細胞膨張(15%)を初めて観察することができました。この現象は、細胞内に水が流入することによってもたらされる細胞体積の膨張によって生じると考えることができます。KATPチャネルには4種のサブユニット*1があり、硫酸ミノキシジルはサブユニットSUR2B/Kir6.1のKATPチャネルを選択的に阻害するU-37883A共存下でのイメージングの結果、細胞膨張は観察されませんでした。しかしミノキシジルと同様のKATPチャネル開口薬であるニコランジル*2やジアゾキシド*3では細胞膨張が観察されました(図2)。このことから、ミノキシジルは選択的にKATPチャネル(SUR2B/Kir6.1)を開口し、それが何らかのメカニズムを経由して毛乳頭細胞を活性化し、発毛効果につながっているという可能性が推測されました。

今後の展望

今後は、他剤のKATPチャネルを開口薬の違いを明らかにするとともに細胞外放出ATPやその代謝物の定量について検証していき、ミノキシジルのヒト毛乳頭細胞に対するメカニズムの全容を目指していきます。
更には、ミノキシジルに類似した薬剤の適応外処方の応用や、新発毛薬開発スクリーニングのヒントとして活用していきます。

*1 4種のサブユニット:SUR1/Kir6.2, SUR2A/Kir6.2, SUR2B/Kir6.1, SUR2B/Kir6.2
*2 ニコランジル:心筋(細胞膜)ATP 感受性 K+チャネル(KATP)を活性化させ、冠動脈の血管拡張作用を作用機序とする狭心症治療剤。
*3 ジアゾキシド:膵島β細胞の細胞膜 ATP 感受性 K+チャネル(KATP)を活性化させ、インスリンの分泌を抑制する高インスリン血性低血糖症治療剤。

発表演題概要

研究会名称:第26回毛髪科学研究会
発表タイトル:ヒト毛乳頭細胞に対するミノキシジルの作用機序の解明
発表者:日本医科大学 形成外科 高田 弘弥
共同研究者:
アンファー株式会社 長田 康孝、波間 隆則
医療法人社団ウェルエイジング メンズヘルスクリニック東京 小山 太郎、小林 一広
日本医科大学 形成外科 小川 令

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