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「男性の元気のミナモト」テストステロンを増やす3つの方法とは?

テストステロンを増やすための2つのポイント

辻村 晃

順天堂大学医学部附属浦安病院泌尿器科 教授

辻村 晃(つじむら あきら)

男性は、いつまでも若々しくありたいもの。
そんなとき大切なのが、男性ホルモンの代表的存在「テストステロン」です。
とはいえ、男性ホルモンやテストステロンのはたらきを正しく理解している人は、意外と少ないのでは? 

更年期などに伴って減少するテストステロンは、どうすれば増やすことができるのか?
今回は、テストステロンとは何なのか?と、その増やし方を解説します。

テストステロンって一体ナニ?

テストステロンは、男性ホルモンの一種です。とはいえ、男性ホルモンの実に95%はテストステロンなので、実質的に「男性ホルモン=テストステロン」という認識でも、大方、間違いではありません。テストステロンは、男性の体内では睾丸で作られます。

テストステロンのはたらきは、非常にざっくり言うと「男性的な体付きや思考性を作る」ことにあります。精神的・肉体的な元気さを維持するために必要なことはもちろん、性機能(勃起力や性欲)・生殖機能や記憶力、認知力にも関係しているといわれています。

このように、「男らしさ」には欠かせないテストステロン。逆にいえば、テストステロンが減少すると「男性力の低下」につながるのです。

テストステロンは男性の健康とヤル気のバロメーター?

テストステロンの低下

テストステロンの分泌量は、男性の人生の中で20〜30代の頃がピークとされます。この時期の男性は豊富なテストステロンの分泌量から、人生の中でもっとも活力に満ちています。そして、その「男ざかり」の期間を過ぎると、テストステロンの分泌量は徐々に減少していきます。そして、気力も体力も衰えていく人が多いのです。

「若い頃にこなせた仕事量がこなせなくなった」と精神的に落ち込む方もいますが、仕事に対するモチベーションの低下も、気分の落ち込みも、テストステロンの減少が原因かもしれません。精神的に落ち込んでいるうつ状態の方のテストステロン値を測ると、テストステロンの数値が低いことがわかっています。

テストステロンの減少が如実に影響するのが、性機能です。テストステロンが減少すると、勃起力が落ちたり、リビドー(性欲衝動)が起きなくなるなど、性機能が明らかに減退します。分かりやすいバロメーターとしては「朝勃ち(早朝勃起)」があります。年齢を重ねると、朝勃ちしなくなった…そう自覚している人は少なくないと思います。

テストステロンは男性の活力のもととなるホルモンですが、不足すると性機能以外にもさまざまな症状があらわれます。

テストステロンの減少は、以下のような心身の変調がシグナルとなります。

・疲れやすい、または疲れが取れない
・睡眠不足
・精神的にも落ち着かない
・不安感、うつ症状、イライラ感、パニック障害
・集中力、やる気の低下
・制欲が減退した
・朝勃ちしなくなった

テストステロンの分泌量

テストステロンの減少はメタボを呼び込む?

テストステロンとメタボの関係

テストステロンの減少は、中年男性の健康面に大きな影響を及ぼします。というのは、テストステロンの減少によって、肥満や高血圧、高脂血症、高血糖などの生活習慣病の発症リスクが高まることが分かってきたのです。いわゆるメタボリックシンドロームを発症しやすいことも分かってきました。さらに、これらのメタボリック因子が重なり、動脈硬化が進みやすく、心血管系イベントの発症リスクになるのではないかという説もあります。健康診断の検査に引っかかりやすくなるのが中年以降、というのも合点がいきます。

そして、ホルモンバランスの崩れによって「男性更年期障害」に陥る人もいます。ただし、症状の程度とテストステロンの低下度合は、必ずしも密接に関係しているとはいえません。数値が低い方でもまったく症状がでない方もいます。

「テストステロン値が高い=モテる」のは本当?

テストステロン

テストステロンは、男性の若々しい活力を作り上げる男性ホルモンです。そう説明すると、何やら攻撃的なイメージがつきまといますが、テストステロンが高い人は「男らしさ」の一方で「交渉能力」や「決断力」に富み、さらに「正直」だという研究データも存在します。そのため、テストステロンには「社会的ホルモン」という別名もあるほどです。

また、テストステロンには抗肥満作用、抗メタボリック作用があるため、テストステロン値が高い人の方が、スリムな印象になります。
若々しく見えて活力がみなぎり、バリバリ仕事をこなしている姿は、女性にとっては魅力的です。

それを証明するような面白い話があって、女性に74人の男性の写真を見せて好みの男性を選別してもらった結果、選ばれた男性は免疫力が高い、テストステロン値の高い方であったという報告があるくらいです。

また、猿山のボス猿は猿の中で、一番テストステロンが一番高いように、テストステロンが高い方が社会的に成功しやすい、逆に成功している方の方がテストステロンは高いといわれています。この社会的な成功度合いも重要です。

女性には「自分の遺伝子を強い免疫力を持つ子孫に受け継ぎたい」という生物的本能があります。すなわち、女性は男性の性格や経済力を重視し、正直で長く安定的に生活を保持できる人を選ぶのではないか。その意味から、本能的にテストステロンの高い男性に魅力を感じるのではないかと考えられています。

テストステロンを効果的に増やす方法は?

筋トレとテストステロン

テストステロンは、加齢に伴って減少します。それは生物として抗いようがありません。しかし、テストステロンの分泌を増やす方法もあります。

テストステロンを増やすには、テストステロン注射やクリームを使用することが一般的です。しかしそれ以外でも、テストステロンを増やす方法はあります。それは「運動」と「食事」、そして「社会的な生活」の3つです。

テストステロンを増やす方法(1)筋肉トレーニング

筋トレによって筋肉に刺激を与えると、テストステロンの分泌が促進されます。また、基礎体力の向上はもちろん、精神的なモチベーションのアップも、テストステロンを増やす一助となり得ます。

・スロースクワット10回を3セット
・規則正しいリズムで30分程度の運動(軽いウオーキングやランニングなど)

などを継続するといいでしょう。

逆に、あまりに激しい運動、たとえば短期間に何度もマラソンに参加するなどをおこなうと、かえってテストステロンを低下させてしまうので注意が必要です。
また、筋トレ中に音楽を聴くと、男性はテストステロンの分泌量が下がるとの報告があります。音楽のリラックス効果がそうさせるのかもしれませんが、ジムのランニングマシンを使っている時は、音楽は控えた方が無難です。

テストステロンを増やす方法(2)食事

食事から摂取される栄養素は、テストステロンを増やす上で非常に重要です。

たんぱく質

食事は、動物性たんぱく質を多く含むものを摂取するとテストステロンの上昇が期待されます。タマネギには含硫アミノ酸のアリインが含まれているのですが、このアリイン類がテストステロンを増やす働きがあります。

亜鉛

最近、「牡蠣や煮干しなどに多く含まれる亜鉛もテストステロンを増やすのでは?」と言われています。事実、動物実験では亜鉛を摂取させるとテストステロンが上昇したものがありますし、人においても1990年代の報告で亜鉛を摂取した男性でテストステロンが高かったという研究報告はあります。

ただ、一般的に亜鉛は精子数を改善させるなど、生殖機能に関与する研究データのほうが多く残いため、「亜鉛=テストステロンの上昇」とダイレクトに作用するとは言い切れません。抗酸化作用や細胞の活性化などを経た“間接な効果”であろうと考えられています。

テストステロンを増やす方法(3)社会的な生活

十分な睡眠をとり、趣味を持ったり、友人と出かけたりするような社会的な活動をするとテストステロンがあがるといわれています。つまり、社会と関わりを持ち、規則正しく健康的な生活を送ろう、ということです。逆に、自宅に閉じこもっていたりすると、テストステロンは増えるどころか減少します。

サプリメントで補給するのはアリ?ナシ?

テストステロンのサプリメント

栄養バランスのとれた食事が難しい場合、サプリメントで効率よくテストステロンを増やすことを考える方も多いでしょう。残念ながら、確実にテストステロンが上昇するサプリメントはありません。またテストステロンの内服剤は、通常、肝機能障害のリスクが高くなるためおすすめできません。テストステロンを含んだサプリメントを仮に海外から入手できたとしても、やはりリスクを伴います。またこういった輸入医薬品は、副作用があったとしても救済制度が適用されないという大きなリスクを伴います。

先ほどの筋肉トレもそうですが、過剰な運動はかえってテストステロン値を低下させる要因になります。サプリメントに限らず、テストステロンを過剰に、しかも長期間投与していると患者自身の精巣機能が低下する(精巣が小さくなり、精子数が減少)可能性があります。

また、多血症のリスクも高まります。前立腺体積が増加し、排尿機能に影響する可能性や前立腺がんのリスクも指摘されているので気をつけましょう。

 

(文・長谷川真弓)

 

辻村 晃

この記事の監修

順天堂大学医学部附属浦安病院泌尿器科 教授

日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医/日本生殖医学会 生殖医療専門医

辻村 晃(つじむら あきら)

兵庫医科大学卒業。国立病院機構大阪医療センター勤務後、ニューヨーク大学に留学し細胞生物学臨床研究員を務める。大阪大学医学部泌尿器科准教授などを経て、順天堂大学医学部附属浦安病院泌尿器科教授。特に生殖医学、性機能障害の治療に注力し、不妊に悩む数多くの夫婦を助けてきた。

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